財源チラシ第7版からは〇説明は削除しています。以下のサイト説明も変更を予定しています。
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1.政府のおカネはどこから借りているのか?
私達個人や企業は、銀行からおカネを借りることがありますよね。
国債を「国の借金」とも言われますが、政府(国)の場合はどうしているのでしょうか?
一言で言うと、政府は日本銀行(日銀)から借りています。
(1) 日銀の口座
政府の口座は日本銀行の当座預金にあって、私達一般人が持てない口座で、金融機関や政府だけが持てる、特別な口座なのです。
私達が銀行窓口を使って、おカネを借りているのと同じように、政府は日銀の口座窓口からおカネを借りています。
(2) 日銀当座預金の出どころ
政府へ実際の貸し出しを行うのは民間の金融機関ですが、政府へ貸し出しするおカネ(日銀当座預金)の出資を日銀が民間の金融機関に行っています。 *市場金利調節のために実施しています。
つまり民間の金融機関が政府から国債を買うおカネは日銀が出しています。
(3) 最終的な国債の引き受け手
日銀が国債を政府から直接買い取ることは法律によって禁止されています。 一方で、市場を通じて、日銀が国債を買い取ることは可能です。
つまり、国債が何らかの思惑で急に売られたとしても、最終的な引き受け手になることが出来るのです。
事実として、現状、金融緩和の政策として国債の半分近くを日銀が保有しています。
- 参考)国債等の保有者別内訳 財務省HPより
- (狭い意味での)国債 償還期間:2年~40年
- 国庫短期証券 国債全体の10~15% 日本政府が一時的に生じる資金不足を補うために発行する国債。償還期間:2か月程度~1年
結論1
政府は日本銀行(日銀)からおカネを借りています。
2.政府と日銀の関係
政府と日銀の関係について触れておきます。
日銀は政府とは独立した組織とされています。
政府は日銀の資本の55%を出資することが法律により定められていますが、株主総会というものはなく株主として経営に関与することは出来ません。
しかし、事実上、政府と日銀は繋がっています。場合によっては、日銀は政府の実質的な子会社と見なしてもよいかもしれません。
(1) 日本という存在
政府と日銀は日本という国家と一体となっています。
日本全体の政治運営を行う政府も日本銀行券(おカネの形態の一種、お札)の発行や金融政策の運営を行う日銀も日本から切り離すことは出来ません。
- *硬貨(500円、100円、10円、5円、1円)は政府が発行しています。
(2) 日銀総裁人事
日銀のトップである日銀総裁の人事案は政府が作成します。
その人事案は衆議院と参議院での同意を得ますので、政権を運営している与党は日銀のトップを決めることが出来ます。
同様の手順で副総裁以下8名の政策委員会の構成員(会社でいう執行役員)が決まります。
株主のような人事権は持っていませんが、実質的な人事権は政府が握っています。
法律で決まっていますので、誰かに日銀の人事権を奪われることもありません。
(3) 日銀の利益は政府の利益
日銀が得た最終的な利益―日銀が保有している国債の利息収入も含む―は、出資者への配当や法的に差し引かなくてはならない金額(利益の5%)の分を除いたのち、国庫(政府)に返されます。
出資者には政府も含まれますので、配当分の55%も政府に返されます。
この仕組みは、子会社の利益を親会社の利益とするのと酷似しています。
結論2
事実上、政府と日銀は繋がっている。日銀は政府の実質的な子会社と見なしてもよい。
*政府と日銀を合わせて、「統合政府」と呼びます。
3.海外の影響は?
海外からおカネを借りている場合は財政破綻等のリスクはありますが、どうでしょうか?
結論を先に書くと、海外の影響は現段階で無視してよい状況下にあります。
(1) 国債の所有者
1-(3)で触れましたが、国債はほぼ半分が日銀によって所有されています。
海外の所有比率は10%強で割合少ない上に海外で日本国債が必要なくなれば、日銀が最終的な引き受け手になることも出来ます。
(2) 自国通貨建ての国債のみで運用
日本国債は全て自国通貨建ての国債のみで運用されています。
自国通貨建て国債の場合、通貨安となっても利息は一定で利息が海外に払えなくなるということはありません。国債の利払いも日銀のコントロール下におかれています。
自国通貨建て国債で財政破綻が起こらないことは財務省も認めています。→財務省HP
自国通貨建て国債のみで運用出来ている国は日本を含め数か国しかありません。
(2)については、米国建ての日本国債ができたため、訂正線を引いた形で削除しています。
詳しくは⇒ 今回話題に挙がって居る国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律 の一部を改正する法律案に関して
(3) 海外は日本からおカネを借りている
(引用元) 日本の資金過不足 国内民間部門の収支(黒字)=国内政府部門の収支(赤字)+海外部門の収支(赤字)
引用元:貨幣論研究者シェイブテイル氏より 家計純資産≒政府純債務+企業純債務+海外純債務
海外は国内民間(特に家計)に対しておカネを借りているため、
国債利息収入より多くのおカネを日本全体に対し支払っています。
- 参考)2022年の日本の経常収支黒字額:9兆円/2022年末の日本の対外純資産:418兆円
結論3
従って、政府がどこからおカネを借りているかの議論において
海外の影響は現段階で無視してよい状況下にあります。
以上の「〇 政府のお金はどこから借りているのか」の説明をある一家とよその家(海外)に例えると以下の通りにまとめられます。
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