消費税で言う『逆進性』とは、結局、何なのか?

ぎゃくしん‐せい【逆進性】
それぞれが逆の方向に進む傾向。例えば、消費税率が上がると低所得者ほど収入に対する食料品などの生活必需品購入費の割合が高くなり、高所得者よりも税負担率が大きくなるということ。 コトバンク

 

逆進性という言葉だけが独り歩きしているように感じます。

逆進性という言葉の意味をきちんと理解し説明ができていないために、
「消費税減税は高所得者の方が恩恵を受ける」といったレトリックがいまだにまかり通っていると危惧しています。

逆進性という言葉さえ聞けば、誰もがその意味を理解できる訳ではありません。

インボイス制度の実施中止、消費税の減税や廃止を現実のものにしていくためには、
逆進性という言葉の印籠をかかげるだけでなく、分からないひとにきちんと説明できるひとを増やしていく必要があります。

この記事では、できるだけ分かりやすく『逆進性』について説明しますので、「そんなの、知っているよ!」と思う方でも、一読をお願いしたいですm(_ _)m

 

まずはこちらの図から

 

平等に、同じ高さの踏み台を用意しても、背の高いひとはフェンスの上から観れるが、背の低いひとは観れない

そうでなく、

背の高さに合わせて高さを変えた踏み台を用意して、みんな観れるようにしてあげる公正さが求められる場合があります。

何かの競争をするにしても、まずスタート地点を同じに整えてから実施しようということです。公正の要素を取り入れた方が勝ち負けが分かりにくくなり面白い勝負になりますよね。

 

政策議論のために頭に入れておきたい!! お金の根源的な性質の性質1で挙げた通り、お金はないところからは逃げ、あるところに集まる性質を持っています。

1.お金は集まる

  1. ぱっと思いつくのは、『利子(・配当金)』だと思いますが、利子だけではありません。

  2. 余分なお金を投資に活用することにより、更なるお金を集める仕組みを作ること

つまり、ほっておけば、金持ちはますます豊かになり、貧乏人は一生貧乏なままという格差社会が生まれます。

 

  • バランスの問題でもあるのですが、

頑張っても報われないなら自暴自棄になり犯罪に手を出す貧乏人も増えますし、
努力しなくても金持ちのままでいられるのであれば金持ちも腐敗していきます。

究極の格差社会では、社会に活力が失われ、内乱や外敵の侵攻等により国家として終わりを迎えるだけの存在となります。

お金が集まることによる格差拡大を抑制することは、単に弱者救済だけでなく、社会の健全性の確保や国家としての体調管理という側面もあります。

 

  • そして、

お金が集まり格差の拡大を抑制するために税金があります。

格差拡大の抑制=スタート地点を近づける、
つまり税金には、本質的に『公正さ』が求められます。

 

ここで、イラストの税に求められる役割の例えを使った説明では

身長 = 収入

踏み台の高さ = 税負担の軽さ

・・・を意味します。

  • そして、

フェンスの上から試合を観れるかどうかは
= (税負担をしても)生活していけるかどうかを意味します。

 

では、税負担の軽さ⇔重さ というのは、具体的にはどういうことなのでしょうか?

税金の額の大小のことではありません。

100万円の収入で暮らしているひとが80万円の税負担をするのと
1億円の収入が得られるひとが1000万円の税負担をするのでは、

金額では、1億円の収入が得られるひとが多いですが、
80万円も、100万円の収入で暮らしているひとが税負担したら生活は成り立たなくなります。

 

判断の目安は税負担をしても生活していけるかどうかです。

 

  • かと言って、100万円もあれば生活できると見なして
  • 100万円の収入のひとの税負担は0(ゼロ)
    1億円の収入のひとの税負担は9900万円 としたのでは、やり過ぎです。
  • どんなに頑張っても同じ水準の生活しか出来ないのであれば、逆にやる気をなくし、社会は活力を失います。

 

税負担にはバランス感覚が求められます。

 

税負担の軽さ⇔重さ =収入に占める税負担の割合(%) としたら、どうでしょう?

100万円の収入で暮らしているひとの税負担は1%とすると、税負担額は1万円となり、99万円が残ります。(実際は99万円が残ったとしても生活は大変ですね・・・)

1億円の収入が得られるひとの税負担を50%とすると、税負担額は5000万円となりますが、5000万円も手元に残ります。

税負担は重くなりますが、かと言って、贅沢な生活ができない訳ではありません。

 

  • 台の高さ=収入に占める税負担の割合の少なさには、絶妙のバランス感覚が求められ、かつ国内の格差の状況にも左右されます。上記の記述はあくまで一例です。

 

 

ここまでの説明が分かったところでようやく消費税の話です。

仮に、消費税を一律で20%、それ以外の税負担は0(ゼロ)としたとしましょう。

  • *実際の税負担はあらゆる税金の合計値となります。

消費税はモノ・サービスを購入したときにかかります。貯金や金融投資をしたときにはかかりません。

  • *金融投資で例えば金・プラチナ投資のように、購入時に消費税がかかったとしても、消費せずにそのまま売却するのが金融投資ですので、売却分のプラス分を込みすると、消費税負担は0(ゼロ)となります。

そこで
仮に、どんなに収入が増えたとしても、全てのモノ・サービスを購入すると仮定すると、
収入に占める税負担の割合は一律で20%となります。

 

  • 100万円の収入で暮らしているひとの税負担額は20万円で 残りは80万円
  • 1億円の収入が得られるひとの税負担額は2000万円で 残りは8000万円

 

平等 が消費税の理想の発想となります。

税に求められる役割が公正ですので、
消費税では、『お金が集まる性質』により格差が生じることの是正にはなりませんね?

 

でも、話はもっと酷いのです。

 

平等 = 消費税の”理想”の発想 と書きました。

そうです。理想に過ぎないのです。

 

消費税はモノ・サービスを購入したときにかかります。貯金や金融投資をしたときにはかかりません。

収入が増えれば、貯金や金融投資を増やすのは当然です。

お金持ちになるための指南書(例えば金持ち父さん-貧乏父さん-アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 では、
要は『お金が集まる性質を最大限活かしなさい』ということを言っています。

 

収入が増えれば、貯金や金融投資を増やすのは当然の話なのです。

 

モノ・サービスを購入しなければ、
消費税はかかりませんので、消費税だけしか税金がかからない世界では、

お金持ちの方が貧しいひとより、収入に占める税金の割合は小さくなります。

例えば、消費税20%でそれ以外の税金がかからない場合

  • 100万円の収入で暮らしているひとの税負担額は(生活のために全額モノ・サービスを購入し消費税を支払うので←例)20万円で 残りは80万円
  • 1億円の収入が得られるひとの税負担額は(2000万円で生活=モノ・サービスを購入、残りは貯金や金融投資をするので←例)400万円となり、残りは9600万円

実際の消費税は平等ですらありません。

このような状態を『逆進性』と言います。

 

イラストで『逆進性』を示すと、ドン引きですよね・・・

実際にこんな風景を見たら、普通の感覚の持ち主であれば、すぐに是正を求めると思います。

分かりにくい形となっていますが、消費税の税負担では、このような『逆進性』が平然と行われています。

 

  • ヤンキーが消費税とインボイスを解説してくれる漫画より

 

まとめ

『お金が集まる性質』の是正には、税には公平が求められる。

消費税の理想は、平等の発想

 

収入が増えれば、貯金や金融投資を増やすのは当然の話で、消費税の税負担はむしろ減る。
これが消費税の逆進性

 

消費税、図解カイセツ あなたの負担は?(日本経済新聞)
1世帯当たりの年間消費税負担額
年収に占める消費税負担割合

 

政策議論のために頭に入れておきたい!! お金の根源的な性質

ヤンキーが消費税とインボイスを解説してくれる漫画

 

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