- 『誰でもマネーを作れるが、それを誰もが受け取ってくれるとは限らない』
ハイマン・ミンスキー
一般的に、お金というと、日本円や米ドル等の法定通貨をイメージすると思います。
この記事では、お金(貨幣、マネー)とは、沢山あるということを、具体例を列挙して説明します。
- ちなみに、日本円や米ドルというのは、厳密にいうと、お金ではなくメートルやkgと同じ計量単位です。
さてお金とはそもそも何なのでしょう?
何らかのモノ・サービスを受け取ったときに、代わりに渡す券(いつか相手に借りや恩を返すという意思表示された券)です。
代わりに渡す券は紙でなくても電子データでも帳簿上での記載でも金貨でも構いません。貸し借りの情報です。
- 4500年前の古代メソポタミアでは、古代のくさび形文字で記録された碑銘として帳簿を作り、記録の上でお金のやり取りをしていました。
記事冒頭に挙げたミンスキーの言葉通り、(広義の)お金は誰でも作れますが、渡す相手に受け取ってもらえるかは分かりません。
お金を発行する組織にどのくらい権力があるかで変わってきます。
- この場合の権力とは、組織内にてモノ・サービスを作る力~派生して罰としての暴力構造まで持つと更にお金を受け取らせる力は増加~、~同様に派生し協力組織の権力、協力組織と友好的に付き合える外交(交渉サービス)力~
権力が強い組織が産み出すお金から列挙してみます。
発行体:アメリカ(統合)政府
- =アメリカ政府+FRB(米国の中央銀行)
基軸通貨:米ドル
米ドルが国際取引での基軸通貨足りえる所以は、アメリカの強大な権力にあります。
基軸通貨であるからこそ、アメリカは経常収支(海外収支)赤字でも大丈夫ですし、経常収支赤字にしないと米ドル頼みの貧困国が生きていけないということでもあります。
先ほども記載しましたが、厳密には、米ドルは計量単位です。
日本国内の発行体の説明でも日本円と表記すると返ってややこしくなります。
- (以下の説明の計量単位は全て日本円もしくは日本円に基づいておりますので…)
そこで、魚田さんの寄稿記事「#税は財源ではない」を「魚田式簿記」で解説するに習い、『預証(預かり証)』もしくは『借証(借り入れ証』と言って説明します。
発行体:日本銀行(日本国の中央銀行)
中央銀行の預証=中預
政府が中預を持つと、【政府預金】~政府預証
民間銀行が中預を持つと、【準備預金】~準備預証
- *政府と民間銀行は、日銀当座預金内のお金=中預となる。
民間(銀行以外の企業+家計)が中預を持つと、【現金、日本銀行券】
発行体:日本政府
【日本国債】=日本政府の借証(利子あり)
- ~もしも【永久国債】であれば=日本政府の預証(利子あり、元本の返還約束なし)
【硬貨】=日本政府の預証(利子なし)
発行体:民間銀行
【銀行預金】=民間銀行の預証
発行体:地方自治体
【地方債】=地方自治体の借証
発行体:企業
【社債】=企業の借証(利子あり)
【株式】=企業の預証(利子あり、元本の返還約束なし)
- *株式とはいわば、政府で言うところの“ 外貨建ての永久国債” です。
【ポイント】=企業の預証
発行体:企業(マイナー編)
【切符】=鉄道会社の預証
【商品券】=特定企業集団(商店街)の預証
- *商品券発行には地方自治体が加わっている場合もあり
【アイドル握手券】=アイドル運営会社の預証
【ゴルフ会員権】=ゴルフ場運営会社の預証
発行体:家計
- (厳密には家計で発行出来る訳ではなく、仲介組織が必要)
【小切手・手形】=個人の預証
- *企業の場合もあり
【クレジットカード払い】=個人の借証
【住宅ローン】=個人・家計の借証
【ツケ払い】=個人の借証
- *相手との信頼関係があれば個人で発行可
- おまけ:【肩たたき券】=家族・親族での預証
如何でしょうか?
このように改めて整理してみると、お金の世界が広がって来ませんか?
- なお、計量できないお金の範囲まで含めるとIOUと呼ばれるようになります。詳しくはこちらの外部ページ
特に、日本銀行の預証は国の財政を理解する上で大事なポイントとなりますので、
最後の締めにもう一度記載します。
発行体:日本銀行(日本国の中央銀行)
中央銀行の預証=中預
政府が中預を持つと、【政府預金】
民間銀行が中預を持つと、【準備預金】
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*政府と民間銀行は、日銀当座預金内のお金=中預となる。
民間(銀行以外の企業+家計)が中預を持つと、【現金、日本銀行券】
- 記事参考
- 「#税は財源ではない」を「魚田式簿記」で解説する〈魚田阿萬〉
- 2-1.「主権通貨」とは〈xbブログ〉
- 図解入門ビジネス 最新MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本〈望月慎〉
- 東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!〈ムギタロー〉
負債論 貨幣と暴力の5000年 〈デヴィッド・グレーバー〉
握手券で説明-お金の発行とその限界-〈藤井聡〉 - 鉄道会社の切符とお金〈税は財源ではない!財務真理教と戦う反緊縮派。〉
- 対話11 続・「お金」と「貨幣」、英語の「money」〈nyun〉
©シン
category:シン / tags:お金
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ポイントは、預金(預かり金)ではなくて、預証(よしょう / 預かり証)なんだよ、という所です。
借金(借り入れ金)ではなくて、借証(しゃくしょう / 借り入れ証)なんだよ、という所です。
預金(本来は、預証と呼ぶべきオカネ)は、銀行に預けてるんじゃなくて、顧客自らが保有してるんです。
借入金(本来は、借入証と呼ぶべきオカネ)は、銀行から借り入れたオカネじゃなくて、
顧客自らが発行して(万年筆マネー)、銀行に渡した(貸した)オカネなんです。
国債も、政府の借金(政府が借りたオカネ)ではありません。
政府が銀行から、中預というオカネを借金するときに、政府が銀行へ渡す(貸す)オカネなんです。
住宅ローン(民間の信用創造)で、銀行は、現金を預かってないにもかかわらず、預かり証(預証)を貸し出すわけです。
顧客は、預かり証(預証)を借り入れて、借り入れ証(借証)を渡す(貸す)んです。
貨幣というものを、このように捉え直すと、「国の借金」なるものが何なのか、その真実が見えてきます。
実は、国民が借金してるんです ( ´∀`) 。
借金ってのは、資産なんです。
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