- 前の話題:01-02.供給能力について
- この説明は、第4版以降の説明です。第3版以前の説明はこちら
本当の財源である、モノ・サービスを生み出す源の「供給能力」は 需要がなければ、徐々になくなっていきます。
ここに日本の問題があります。
各国の物価推移のグラフを見てみましょう。
- 1980年を基準にし、各年のインフレ率(GDPデフレータ)から作成
- GDPデフレータについての説明はこちら
日本(青線)は元々、長年の高い供給能力のおかげで、他国に比べ低いインフレ率で推移し物価も(恐らく多くの日本人がイメージしているほど)上がっていませんでした。
すなわち、供給能力は昔から減りやすい状況下にありました。
例えば、公共性が高く儲けにくい農業分野は既に昔から破壊を受け、いざというときの食料確保が出来るかどうかは分かりません。
破壊例(1) 食料の供給能力の破壊
- 昭和40年=1965年、昭和55年=1980年、平成元年=1989年、平成28年=2016年
- 引用:輸入食品安全・安心Q&A(群馬県)
供給能力が破壊されやすい、日本の元々の状況下にあるにも関わらず、バブル崩壊後に需要落とす消費税増税 5%が断行され、更には政府支出の削減も進みました。
*将来不安を抱え民間の貯蓄が増えると、政府の負債は拡大します(→資料 p11)。このとき、政府の負債が増えることを抑える為に歳出削減や増税を行うと更に状況は悪化します。
- *民間貯蓄の増大は一律に起こる訳でなく、家計より企業が、低所得者より高所得者の貯蓄が増大しやすくもなります。→格差拡大の問題は財源研究室サイト外をご参照下さい。
- 特に1997年~2016年の政府総支出は世界最下位→資料p5
消費税増税5%への断行では1997年から始まったアジア通貨危機の最中であったこともあり、外需による供給能力の下支えもほとんどなく、供給能力の破壊は他の産業にも広がることとなりました。
- 物価推移は2003年を起点にするとずっと元に戻らず供給能力の破壊が継続状況
例(2) 医療の供給能力の破壊
- 引用:医療統計の概要
例(3) 先端技術の供給能力の破壊
「公共事業から「インフラ」へ〜経済と財政の正しい認識が日本を救う〜」
- もっと詳しい図はこちら
こんな状況で日本を、未来の子供たちをどうやって護っていけるというのでしょうか?
まとめ
●売上低迷している低迷期は需要減少に伴い、供給能力も徐々に破壊されていく
●供給能力の破壊は全産業一律で起こる訳ではなく、公共性が高く儲けにくいために輸入品に圧迫され国内の供給能力が破壊され、いざというときには不足状態の産業もある
●増税・歳出削減によって、更に供給能力の破壊は加速、衰退国家化へ
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おまけ
【働く側から見た需要と供給の見え方で考えると】
お仕事の依頼⇒需要
働くことの出来る力⇒供給能力
お仕事の依頼も増えれば、効率化しようと投資し、働くことの出来る力を増やしていきます。
働くことの出来る力増えれば、更にお仕事の依頼も受けられるようになります。
一方、お仕事の依頼がなければ、働くことの出来る力も徐々に減っていきます。
働くことが出来なくなれば、お仕事の依頼にも応えられなくなります・・・
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