前の話題:02.使わないと本当の財源は減る
現在、日本は海外に資産を保有し、毎年、海外から収入が得られるお金持ち国家となっています。
しかし、このまま国内の供給能力の破壊を続けていくと長期的には他の後進国と同様に自国の需要を国内の供給能力でまかなえなくなり、財政破綻、通貨暴落、ハイパーインフレも起こることにも繋がります。
日本が自国の需要を国内の供給能力で賄いきれなくなる可能性の例
例①
需要落ち込みが続く中、「選択と集中」を強化し、価格競争力の強い特定産業(例.自動車)に特化した供給体制に変化。国際情勢の変化や技術革新により、特定産業が廃れ、輸出で稼げなくなり、輸出に頼った供給体制が崩壊。
原油収入に頼ったロシア、観光収入に頼ったギリシャやトルコ、特定の作物を栽培するプランテーション農業に頼った国々が例として挙げられます。
例②
戦争・国家崩壊レベルの大災害によって国土が大幅な破壊を受けた後の復興期。国際情勢の変化によってエネルギー資源の輸入が停止したとき。
- 場合によっては多額の追加費用(賠償金)も必要となることもあります。
- 戦後まもなくの日本や第一次大戦後のドイツ。戦争・大災害中は需要も消失するので復興期の方が顕著となります。大災害は一部ではなく国土全体で壊滅的な規模で起こる必要もあります。
国際情勢の変化、大災害の発生はある意味、防げないものですが、常日頃から緊急事態への投資を行っていれば被害は出来る限り防ぐことが出来ます。
防災、医療、エネルギー、食糧を含む安全保障体制も大事な供給能力の一つです。
例③
国際的な緊張の高まりのなかで、日本人の持つ海外資産が没収。これまで積み重ねてきたお金持ち国家の地位から強制的に退場させられた場合。
現状、金融所得も含めた経常収支は大幅な黒字ですが、貿易収支は赤字になるときも増えてきており、国際的な事情も変わると危機は早くに訪れることとなります。
供給能力が破壊された後の破綻のプロセス
①自国の需要を国内の「供給能力」でまかなえない状況になる。(大前提)
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②輸入で補うしかなくなり貿易赤字となる
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③貿易赤字拡大が金融取引も含めた経常収支赤字にまで発展する。
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④日本円の為替レートに下落圧力がかかる
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⑤輸入物価急騰を防ぐため、政府に対ドル固定為替相場制を採用させる:固定相場制
*固定相場制を採用しなくてもいいが、その場合は継続的な自国通貨安、輸入物価高騰による高インフレが発生、ただし変動相場制維持の方が輸出には有利になり、供給能力を改善させやすい。
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⑥政府は対外赤字が拡大する中、固定相場を維持するため、外貨準備を取り崩し、「ドル(基軸通貨)で日本円を買う」為替防衛を続ける
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⑦ドル準備が尽きそうになったら、外貨建て国債を発行し、為替レート維持のための外貨を手に入れる:外貨建て国債
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⑧大前提である状況①を解決出来ないと、長期的には、通貨暴落、輸入物価高騰による高インフレ(ハイパーインフレにも発展?)、外貨建て国債による財政破綻のいずれかが発生する。
作成参考
ロシアのデフォルトから学ぶ国際金融資本のやり口[三橋TV第158回]三橋貴明・高家望愛(動画)
笑えない真実 財政破綻論者の主張が日本を財政破綻させる[三橋TV251回]三橋貴明・高家望愛 (動画)
以上の通り、需要低迷をほっておいたり更に増税・歳出削減で需要下げると
本来持っていた「供給能力」・・・本当の意味での財源を破壊し、将来へ多大なツケを残すこととなります。
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