身を切る改革の恐ろしさ【ヤンキー本0.5巻への寄稿予定だった作品】

  • 『日本経済を解説するヤンキー』0.5巻の 緊急特別編①「身を切る改革って何や」に寄稿予定だった作品を制作者様の了解のもと、公開します。(『日本経済を解説するヤンキー』0.5巻は、少なくとも財研出版発行で出すことはもうありません。詳しくはこちら
  • 製作者様名は本人のお考えで、匿名扱いとさせていただきますが、誰の文章かわかる人にはわかるかもしれません。制作者様の久々の記事をお楽しみいただけましたら幸いです。

 

経済同好会新聞を書くに至った経緯は、貧困が増えていることをニュースで目にしたことと、それを解消すべくSNS等で情報発信している人達がいることを知ったことからだ。経世済民とは「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」こと。略して経済と呼ぶが、我々が思っている経済とは随分と印象が違うのではないだろうか。世の中を治め、民衆を苦しみから救済すること。また、そのような政治。これが本来の経済なのだ。つまり、いわゆる市場競争で人が死んでいれば本末転倒ということになる。ましてや、貧困層に自己責任だとか努力不足等と一刀両断することも違う。

わが国で維新の会が常々言う身を切る改革。この発端は2012年1月26日の衆議院本会議にて、当時民主党の野田佳彦総理大臣が政治や行政を改革するために用いた言葉が身を切る改革だ。維新の会の十八番のように思われている方も多いが、民主党・野田内閣が最初に火をつけた。

民主党時代においては、消費税増税案を前提とした上で公務員給与の見直し、歳費の引き下げ、国会議員の定数削減を念頭に置いていた。維新の会は消費税減税を前提としているため民主党とは異なるが、その他は概ね同様。いづれも害悪なのは身を切ると称しながら、実態は国民の身を切っているところ。マクロ経済では所得が削られる人が増えると、不景気に寄与するため悪手である。加えて、歳費の引き下げは経済がダメージを受けている時や停滞している時にやってはならず、これも不景気を後押しする。百害しかないことをわざわざ宣言してやってきたのだ。経世済民とは相容れない。故橋本龍太郎曰く、

 

私は1997年から98年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に申し訳なかった。国民に深くお詫びしたい。

 

こう語った。苛政を認識して謝罪したのだ。身を切る改革はこの過ちを繰り返すものであり、これに沿うように政策を進める政治家は学習能力がないのか故意なのか。これこそ将来世代のツケである。

 

 

身を切る改革の実態とは

身を切る改革で見えてきたこととは何か。それは国民の身を切りながら公共物を売却することだ。これによって肥えるのは特定企業、そしてキックバックを得る政治家や政策ブレーン。政策工房の役割はこれであり、竹中平蔵や高橋洋一が関わっている。彼らは維新の会とも関わりがあり大阪の衰退とは無関係ではない。むしろこれが原因と言っても過言ではないのだ。これを指摘する人は多いが、在阪メディアが報じることはない。現知事や市長が誰かを考えれば理解できるというもの。

小泉内閣の際にやった郵政民営化にしろ一部企業が得をして他は損をするようになった。身を切る改革とはコストカットであり、それで儲ける者達がいることをセットで見てやらねば、甘言に騙されてしまうのである。

 

世論誘導

驚くべきことに、関西テレビでは大阪府知事である吉村の露出度が高く、ヨイショすることが多い。メディアのスポンサーは誰かを見てやれば良い。そのスポンサーの後ろには「物言う株主」がいることを考えれば、府民のために政治が行われることはない。したがって、身を切る改革は特定企業や資本家を潤すためのものであり、その反対側では多くの身を切らされるよう誘導されていることになる。これを知らないと「身を切る改革で良くなるんだ」と呑気に構えている内にどんどん首が締まっていくのだ。

そして、地方議員や国会議員でも経済的に余裕のない新人や基盤がかたまっていない状態にある人にとって給与削減は非常に苦しい。低賃金労働者と同じ状況に陥るのだから。身を切る改革は弱者には非常に酷であり、癒着している者達にとってはウハウハ。これぞ格差拡大の要因をわざわざ作るようなものだ。これに在阪メディアが与していることは非常に罪深いことであり、許しがたいことである。このような行為はヒトラーがやった大衆扇動そのものだ。彼らは歴史から学ぶどころか、それに沿って世論誘導をやっている。

利用される心理

身を切る改革は人々の良心に訴えかけ同調させ身を切らせる。そうしておいて裏では利権をせっせと作
る具合だ。これは人々の承認欲求を満たしながら同調させるやり方である。同調しない者はけしからん輩であるから敵だと認識させることも可能だ。まさに分断。身を切らされないよう政治やその背景に関心を持とう。これこそ、多くを幸福にする術である。

 


 

  • 最後に…
  • 寄稿予定だった作品の公開の了承の際には、制作者様から心のこもったメッセージをいただきました。制作者様も今、とても大変な状況なのに優しさが伝わってまいります。この場を借りて、そちらも厚く御礼申し上げます。今までどうもありがとうございました!またの再開、心よりお祈り申し上げますm(_ _)m
  • 財研出版 シン

 

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