復活のゴールドマネー

最近経済やお金のニュースで気になった記事を見ました。
見出しを書き出してみました。

 

・BRICSがゴールドを裏付けにした通貨を検討 新しい金本位制の導入で中央銀行が争奪戦?

・BRICSの新通貨は金を押し上げ、ドルを破壊する

・BRICSが、ドルを介在しない独自の共通通貨を作成していることにロシア政府が言及
伝えられるところによると、新しい通貨は金 (ゴールド)や希土類元素などのコモディティによって確保される見込みだという。

・「3 人の議員がドルの価値を安定させるためにゴールド スタンダード法案を提出

 

などなどこれらのニュースは、新しい共通の金が作られその裏付けにゴールドがなるかもしれない、といったことが書かれてます。
新しい金の裏付けに金(ゴールド)が選ばれるニュース……あれ?と気になったのは、その事がわざわざ話題になるということは今のお金はゴールドが裏付けになっていない、ということですね。
では今のお金の裏付け、お金の価値はなんだろう?というと、「信用に裏付けられたお金」という事になっている様です。
信用でお金は作られる、なんて言葉もあります。

お金の話や歴史をちょろっと調べるとこんな話を聞いたことがあります。
ちょっと昔は金(カネ)は文字通りゴールドに裏付けられてた。
ゴールドと交換できるからカネは金として価値をもっていたけど、それがあるときゴールドと交換できなくなった。
するとカネは信用を失って価値がなくなっていくはずだ!…ったけど実際はそんなことなくゴールドと交換できなくても金は広がり使われるようになった。
だから金の裏付けはゴールドといった物ではなく実は「信用」が裏付けになっているんだと。

ところが先にニュースなどを見るとそれが怪しくなってきます。
信用に裏付けられたお金を使わず、ゴールドを裏付けにした金を使おうという流れが復活しつつある。
もしこの流れがごく一部の国や地域で終わらず世界の主流になったのなら、お金の裏付けは「信用」とかいう目に見えない曖昧なものではなく「ゴールド」になり、それが正しいということになります。
ゴールド、誰もが欲しがり魅惑の輝きを持つ物が裏付けにあるから、金は安心して使えるようになるんだと言われれば納得もします。
信用という目に見えないモノを捨てゴールドという目に見えるわかりやすい物を金の裏付けに戻す流れになっている。
いったい世界に何がおきているのでしょう? いったいお金とはなんなのでしょう?
そもそも信用に裏付けられているお金というときの「信用」ってなんなのでしょう?

 

曖昧でとらえどころのない「信用」をあえて言葉にするなら「総合力」みたいなものかなーと考えてます。
簡単に言うならチームの力、魅力みたいなもの。
スポーツのチームで想像してみます。
野球などのチームの力というのは誰か一人で成り立っているのではなく、ピッチャーやキャッチャーや野手、選手だけじゃなくとうぜん監督やコーチ、さらに広げて観れば観客やファンなど関係者などなどが上手く連携して魅力があるチームが出来上がる。
バッターとしてみてもホームランを期待されている選手もいれば、地味ながらも塁にでる、きちんと味方の選手を塁をすすめる手助けをする、そんな風に一人一人はバラバラだけども監督コーチが状況に応じて判断してまとめ上げていく。
だから選手それぞれ監督それぞれファンにさえもドラマがうまれいろんな魅力を持ったチームが生まれる。
そんな魅力のあるチームが試合をするならぜひ見てみたいと現地に行って入場料をはらって、あついからビールでも買ってついでにつまみも買ってみようかな、と魅力と言った総合力が文字通り「お金にも」なる。

でもそんな魅力があるチームだったのが、てんでバラバラになったらどうなるのでしょうか?
選手は自分が目立つことだけを考えはじめ、犠牲フライでチームの勝利に貢献なんてしなくなり、チームワークなんて無視して自分が塁に出て目立つ事だけ、それで給料年棒を上げる事だけに血ナマコになる。
監督コーチも自分の責任が負わない様にその場限りの采配ばかりしだす。
そんなバラバラになったチームに魅力を感じファンとしてついていこう、試合を見に行こうとなるでしょうか?

今、基軸通貨と言われているドル、もちろんアメリカの通貨なのだから自国の都合を優先する場合もあるのは仕方ないところもあると思います。
しかしそれが度を越えて、自分の都合で金を極端に刷ったりしてバブルを起こす。
世界中の国々に介入し騒動を納めるどころかひっかきまわす、自国や自分達の国民どころかそのごく一部の者の利益の為に金を都合よく使う。
その負担は他の者他の国に押し付けられ、周りはいいようにひっかきまわされる。
金だけを刷るなら簡単にできるでしょうが、お金にかかわってくるのは物や物作り、その物作りだってかつてのほどの力はないようにみえます。
戦後のアメリカの物作りの力は世界の半分近く占めていたなんて意見も聞いたことがあります。
そんなあまりにも自分の都合しか考えていないような人が国が、俺を信用してくれ、と言っても信用しますか?
そんな国が発行する金を信用し続けることができるでしょうか?
さきのニュースで語られている新しい通貨を支持する理由に、ドルに振り回されるのはもうたくさんだ!という意見もあるそうです。

しかし色々問題がありながらもドルは世界の金として支えてきた。
そこに拒否して新しい金を作ったと言っても、それをすぐささま信じるというのも難しいと思います。
積み重ねてきた実績も信用もまだないのですから。
そんな信用をなくした金に代わって安心安全を求めて縋るものはなんでしょう?

スポーツのチームでバラバラになってしまったのを一挙に「簡単」にまとめ上げるにはどうすればいいのか?
スターに縋るのではないでしょうか。
ホームランをよく打つ、顔がかっこいい、などなどなんでもよいからなんか魅力のある選手を祭り上げ前面に押し出しファンを引き付けチームを縛りまとめる。
総合力やチームの力なんなに信用できなくなったなら、何かに縋る。

今、金はゴールドというスターに縋ろうとしているのではないでしょうか。
なんてことはない、ゴールドマネーが復活したのではなく、お金の裏付けになっている信用をボロボロにしてきだけなのかもしれません。
信用されないようなことをさんざんやってきたのに、そこを立て直そうとするのではなく手っ取り早くゴールドというスターに縋ろうとしている、いえ縋るしかないほどにお金の信用を貶めてきた。

溺れる者は藁をも掴む、危機に陥った金はゴールドを掴む。
世界に危機がおき信用という言葉が空っぽになりつつある状況で、ゴールドに縋ろうとしている。
それが今世界で起きているのかもしれません。

しかし気になることが一つあります。
そのゴールドというスターが金の裏付けになったなら、世界は経済はお金はよくなっていくのでしょうか?

category:思索にふける柾木 / tags:

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