ももです。相互理解のためにベーシックインカムについて今のわたしの考えを書きます。
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ベーシックインカムという言葉をわたしが知ったのは2008年だったと思います。ベーシックインカムという毎月一定額の金額を国民一人一人全員に給付するというアイデアを始めて聞いた時は衝撃を受けました。
これが日本の社会の生き苦しさを救うアイデアだと思いました。
2007年に銀行の信用創造の仕組みを知った衝撃を受けたわたしは経済をわかりやすく伝えたいと思い、イラストを描いて紙芝居的な動画を投稿するという活動を行なっていました。
- Youtube動画【お金のひみつモモ】:https://www.youtube.com/@momo4ende
「経済というものはむずかしい」「難しくてわからない」という偏見や思い込みがあるために経済の問題、まさしくみんなの生活、命に関わって来るお金の問題が「わからない」と投げだされ考えることを放棄されているように思ったからです。確かに大学を卒業してから就職をして、日経新聞をいくら読んでも、経済の事がわかるようにはなりませんでした。それは根本の信用創造の仕組みを知らなかったからだと思います。
造幣局でお金が鋳造されなくても、日本銀行でお金が印刷されなくても、普通の銀行で 誰かがお金を借りればお金は生み出される。その銀行にそれだけの現金がなくても、誰かがお金を借りれば、お金が生み出されてしまう…信じられない魔法のような仕組み。銀行は誰かから預かったお金、預金を別の誰かに貸しているのではなく、全くの0からお金を生み出して、貸し付けることができる…
2007年に銀行の信用創造の仕組みを知って、わかりやすく伝える活動をしている中でベーシックインカムのアイデアを知り、2009年に「ベーシックインカム・実現を探る会」のメンバーに加わりました。
「ベーシックインカム・実現を探る会」は関東のシュタイナー教育の活動に関わっている人たちが母体となっていました。シュタイナー教育は子どもの自主性や主体性を大切にする教育が特徴だと言えると思います。メンバーの中には不登校児のための塾を開いている人 、フェミニズム社会活動をされている人、地域通貨の活動を主体的に携わった人…
地域通貨は日本銀行や日本国が発行する日本円ではなく、その地域が発行する通貨です。コミュニティ通貨とも呼ばれ、その限られた地域内だけで流通する通貨です。紙幣を発行する形もあれば、通帳方式もあります。日本の地域通貨のムーヴメントは1999年から起こり2005年から2008年にピークを迎えました。その当時の日本は今から考えると夢のようだなと思います。
(参考:日本における地域通貨の実態について 2016年稼働調査から見えてきたもの 泉留維 中里裕美
日本の地域通貨運動の起こり、は「果てしない物語」や「モモ」の物語で有名なドイツの文学家M・エンデの「エンデの遺言」を読むとさらによく理解できます。
なぜ地域通貨「ブーム」が今では下火になってしまったのでしょうか?
- (とはいえ2023年現在でもたまに電子マネーに関連して、地域通貨がトピックとして現れるので死んだわけではありません。)地域通貨が日本円とは異なり、税金や公共料金の支払いなどに使えない、地域外以外のお店との仕入れなどには使えない という面もありますが
地域通貨は限られた地域の中で使用され、その地域通貨を使って買い物をして、そのお店の人とお客さんが顔なじみになってしまったとすると、もう地域通貨を使われる必要がなくなってしまうのです。
何か品物と引き換えに地域通貨を支払おうとすると、お店の人が「いいって いいって 地域通貨なんかいらないよ 持っていきな」のような関係性になってしまう….地域通貨は地域経済活動を活発にするという側面よりも地域内のコミュニティ交流ツールであり、仲良くなってしまえば役割を終えてしまうのです。
- (とはいえ、まだ2023年に地域通貨が残っている地域も日本各地にはあって、滋賀県の高島市もそのひとつで地域通貨「アイカ」があります。わたしは2013年から2017年の一期4年間高島市議会議員を務めていたのですが、一般質問で毎回のように地域通貨「アイカ」の活用で地域経済の活性化を提案し続けました。その提案はなんと、2020年〜2021年のコロナ対策支援として高島市民に一律の地域通貨「アイカ」給付が何度も実施されたことで実現してしまいました。)
まぁそんな感じで、日本における初期のベーシックインカム運動は地域通貨運動と親和性もあり、またフェミニズム運動との親和性もありました。
フェミニズムという視点も重要なところだと思います。2023年現在のベーシックインカム観にジェンダーやフェミニズムという観点はあんまり感じられないのですが、ベーシックインカムの思想とフェミニズムは世界のベーシック運動の歴史から見ても、切り離せないと思います。
主婦…家事、育児、介護が女性の家庭内無償労働によって賄われていることに対してのベーシックインカムという側面
また雇用されて労働する女性の労働市場において男性よりも低い賃金体系…
- 同志社大学の山森亮先生の「ベーシックインカム入門」(光文社新書)を読めば そのあたりのことはよくわかるので 約200年の歴史があるベーシックインカムという概念を知りたい人におすすめです。
ベーシックインカムは具体的な社会経済政策というよりも、むしろ、ジェンダーやフェミニズムを政策とはあまり言わないのと同じように 思想や主義、考え方、概念という側面が大きいのではないかと思います。
日本のベーシックインカム運動の始まりは「全ての人間に尊厳を」という思想から始まっていると言っても過言ではないと思います。
2008年〜2010年は同志社大学の山森先生や京都府立大学の小沢修二先生が中心となって日本ベーシックインカムネットワークの設立を目指しての研究会や勉強会、講演会が開かれていました。当時2009年8月から3年間あまりの民主党政権、日本の社会改革の希望がありました。
しかし、2011年3月11日の東北大震災、福島第一原発事故が起こり…それまでのベーシックインカム運動はここで一旦止まったように思います。
日本には憲法で全ての国民に対して生存権が保障されてはいるものの、生活保護を受給するには「スティグマ」、「恥」という踏み絵があります。恥、辱めを受けるくらいなら、餓え死にした方がマシだと 生活保護を申請せずに困窮状態にある人もあります。お金のあるなしによって、生き死にが左右されない社会を作ろう!という のが始まりですので、その「全ての人間に尊厳を」という思想は わたしは賛同しています。
社会経済政策としてのベーシックインカムについては、財源の問題はあるようなないようなところですが、その前に わたしたちは社会保険料、国民健康保険料や国民年金、消費税…ざっくりでいうと毎月20万円の月収があったとして社会保険料およそ4万円持っていかれて、手取り16万円 貯金をしなかったとして消費税が10%で1万6000円 毎月5万6000円 マイナスのベーシックインカムが現在実現されています。
この状態で仮にベーシックインカムが毎月5万円あったとしても、相殺されるだけでは…まぁないよりかは、現在のマイナスよりマシかな〜とは思いますが、この状態でベーシックインカムを実施するよりも、その前に消費税を廃止したり社会保険のシステムを改めるなどする方がいいんじゃないか?と思っています。
わたしは2018年12月「日本ベーシックインカム学会」の団体設立の時に理事として、一瞬だけ参加しましたが、なんだかベーシックインカムは全ての人に尊厳であったり自由であったりすることを求めるために、旧来の組織の形で運営するのはなんか違うなと思ってすぐに辞めました。それ以来ベーシックインカムの活動はしていません。
わたしはベーシックインカムを知って15年になります。今は政策としてのベーシックインカムについては いいとも悪いとも思ってないというか いいようにも悪いようにもなりうるものだな と思っています。ベーシックインカムは政策としてなら、手段の一つであって、ありかなとは思うものの、「お金や政府に信頼を置いている」ということを意味するのかな とも思います。現在、お金や政府に信頼が置かれているので、その状態が変わらない、維持することに役立つかもしれません。
ベーシックインカムは思想という側面が大きいので、賛成とか反対とか、バカとか情弱とか論戦するようなものではないんですよ
ということはお伝えしたいかな と思って 書きました。
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©もも
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